ロンドン便り - Yoko's Favourites in London

ブラックキャブの運転手さんから

独特の車体で有名なロンドンのタクシー「ブラックキャブ」の運転手さんたちは、通常2年から3年もかかるThe Knowledgeという、これはもう本当に難しい「学習」過程と試験を終了した自営業者の方々です。年齢・人種も様々ながら、性格や経歴も当然ながら様々で、車内の内装でどのサッカーチームのファンか、趣味がなにか、子供が何人いるか等、色々なことがわかります。
私は比較的おしゃべり好きの運転手さんにめぐりあうとかならずいくつか質問をして情報収集に役立てています。日本でもそうですが、タクシー運転手さんたちの実務に基づく「景気判断」は時に一般のニュース報道よりも役立つことが多々あるので、最近悪化する一方の不景気の中、ほとんどの質問は景気に関するものにしています。
先日ロンドン東のはずれにあるO2という会場(もともとのMillennium Domeを商業施設にしたもの)からタクシーを使った際は思いがけない「ブラックキャブとロンドン地下鉄」の関係を発見しました。
その運転手さんによると、企業契約は解約が相次ぎ、「ほとんど消えた」状態になっているそうなのですが、収入の要になっているのがTransport for Londonとの契約とのこと。Transport for Londonといえば、赤字が膨張する一方で一向に(故障だらけの!)地下鉄システムの近代化に投資がまともにできないでいる組織です。いったいその組織がどうして一部のブラックキャブのいいお客さんなのか・・・。
答えは「終電担当の運転手」でした。
たとえば、東のはずれにある駅で終電の運転を終えた運転手がロンドンの西はずれに住んでいたりするそうで、その自宅送迎にブラックキャブが使われるのだそうです。
あきれました。
私個人的には、ロンドンの道路に精通しているブラックキャブは大好きですが、正直値段は張るもので、T.P.O. 上必要な場合の贅沢として利用しています。本来出費を節約して地下鉄の運営に資金を回すべきTransport for Londonは、ブラックキャブよりも安価なタクシーサービスを使うのが当然だろうと思うのは私だけでないようで、イギリス人の友人数名にその話をしたら、文字通り「絶句」していました。
きっとロンドン市民のほとんどがこんなことは知らず、毎朝の通勤前に地下鉄が「動いているか」確認する日課をこなし、あまりに頻繁な故障に無感覚化ているのは、なんとなく理不尽だなぁと思わせる情報でした。

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